飲食店でカラオケを導入している店舗が多くあります。または、一般的な飲食店からカラオケスナックやバーに変えて、リピート率を上げたいという方もいらっしゃいます。カラオケを導入することで、集客効果や滞在時間が長さに比例し、売上アップに繋がる要素があります。しかしながら、カラオケを導入する際には必要な許可、設置場所や防音対策など、事前にやるべき準備が多々あります。今回は、カラオケ導入時の必要な許可や注意点などを解説したいと思います。
ぜひ参考にしてみてください。
1.カラオケ機材に導入方法
ナイトワークとして飲食店を始める際に、カラオケの導入を検討されている方は少なくありません。スナックやミュージックバーなどで多くみられるカラオケですが、店舗は数多く存在しています。そこでまず初めに検討するのが導入方法です。設置する際にはレンタルと購入する方法の二通りあります。多くの場合、レンタルが多いのですが、長い目でみたときに購入することも少なくありません。
費用や今後の店舗計画などを考慮にいれて選ぶとよいでしょう。
・レンタル(リース)の場合
カラオケサービスを提供する会社から器材や楽曲配信、故障時のサポートなどを含めた利用期間に応じて月額料金を支払うシステムです。
〈メリット〉
- ▶初期費用が安い
- ▶トラブル発生時には無償でサポート(メンテナンス含)
- ▶最新の楽曲配信が一定料金で使用可能
〈デメリット〉
- ▶利用期間を終了すると機材は返却
- ▶機材や楽曲配信は同社提供サービスを統一(他社との併用は不可能の場合がある)
- ▶初期費用は安いがトータルで高額になることもある
・購入の場合
器材を購入した際には、メリットとしては自店舗の資産として保有できます。(ローンの場合は支払いが完了時)また、レンタルより、購入されたほうが最終的にはコストが安く抑えられる可能性があります。
デメリットは楽曲配信(コンテンツ)や器材、アップデートなどは自店で行うことになります。また、故障時には業者に依頼することになります。
2.カラオケを導入する際に必要な許可

ナイトビジネスの営業形態によってカラオケを導入する際に風営法の許可申請が必要となるケースがあります。歓楽街にあるスナックやカラオケバーなど、スタッフがお客様にカラオケを促したり、デュエット、スキンシップや手拍子など、接待行為(遊興行為)にあたるものは「風俗営業許可」が必要です。
また、深夜営業で酒を提供し、カラオケを導入する際には、「特定遊興飲食店営業許可」が必要です。
・警察署への申請
店舗所在地を管轄する警察署に「風俗営業許可」および必要であれば「特定遊興飲食店営業許可」の申請書を提出します。(参考:「警視庁 風俗営業、特定遊興飲食店営業様式一覧」)
なお、これらの申請書の許可が下りるには標準期間として1か月半かかります。
注)以下の3つのポイントを覚えておきましょう
☆風俗営業1号許可➡カラオケでデュエットやダンス、手拍子(合いの手)などの接待行為
☆店舗側のイベントや大会(演出)など遊興を促す行為➡特定遊興飲食店営業許可
3.振動・防音対策は必須
カラオケを導入する際には、振動・防音対策は必須です。
特に、住宅地や近隣ビルでのカラオケスナックやカラオケバーはもちろん、楽器を使用するライブハウスなども防音対策を理解しておきましょう。
■窓やドアの防音・遮音化
店内に窓がある場合は、二重サッシや防音ガラスを取り入れる、防音シートを張るなどの対策があります。
ドアにも二重扉(内ドア、外ドアの間に防音空間)にすると外部への遮断対策になります。
■床・壁・天井の吸音対策
楽器音を含むカラオケの対策として、床・壁・天井の防音工事は欠かせません。
床に遮音マットとしてフローリングにタイルカーペットを取り入れることで音の低減化に繋がります。また壁、天井に防音材を入れてボードを2重にすることで対策になります。
専門の業者に工事依頼をする際の費用は、ドア、窓、床、壁、天井など全て含めて、100万円前後が目安となります。
騒音の規制は、各都道府県で設けられているので、管轄する警察署で確認することをお勧めします。
4.カラオケ導入においての注意点

防音対策は基本的に必須ですが、その他の注意点もいくつかあります。これから解説する事項について、押さえておきたい注意点として参考にしてみてください。
4.1 物件選び
カラオケを導入する際には、物件選びにも注意しましょう。
・営業可能な地域
一般的な飲食店および風俗営業も可能な商業地域、近隣商業地域。準工業地域
・営業不可(制限される)地域
第一種住居地域、第二種住居地域は、一般な飲食店は可能だが、風俗営業(接客・遊興行為)は不可。住居専用地域は小規模な店舗(10㎥以下)は可能だが、それ以上の店舗は不可
カラオケのある店舗は、主に2次会・3次会での来店が多いため、駅から近い物件選びを意識すると良いでしょう。交通の便、利便性の良さを考慮すると商業地域を選ぶと良いかもしれません。ただし、地元の常連さんの集いのような家庭的なスナックは住宅地で多くみられます。その際には営業時間や騒音に十分注意をしなければなりません。
4.2 カラオケ営業の時間帯
カラオケスナックなどは、営業規制のある住居専用地域で開業することがあります。
この場合、深夜(午前0時から午前6時)での間、カラオケや楽器を使用しての営業は不可とします。ただし、防音対策によって音が外部に漏れない、騒音とみなされない場合は営業可能となります。
営業時間内の音量についての以下のようにマナーをしっかり周知することで、営業時間を長く引き伸ばすことができます。
- 22時以降は音量を下げての営業
- 音漏れがないか外部からの確認をする
- 比較的静かな曲に切り替える(ライブハウス、ミュージックバーなど)
住宅地域でのカラオケスナックなどを開業する場合、長時間の営業をする場合には外部に音が漏れないような対策は必ず行います。そして、経営者としてのマナーが必要となります。
4.3 カラオケ機器の設置場所
カラオケを導入する際には、店内の状況に応じてレイアウトを工夫するようにしましょう。
- 音の流れに沿った機器の設置
- スタッフがいる近くに設置することで素早い対応が可能
- スピーカーをやや内向きにする
- 厨房やカウンター内にカラオケ機器を向ける(わずかながら騒音を相殺できる)
店内が狭い、スピーカーが大きい、器材を置くと圧迫感があるなど、不安なことは業者に相談しながら準備にかかりましょう。
さいごに
いかがでしたか。カラオケは楽しい時間をお客様に提供することができて集客にも期待が持てます。カラオケ導入の店舗開業を検討している方は、さまざまな規制に従い、マナーをもって営業することが大切です。そうすることで、さらに音楽が店内を盛り上げてくれることでしょう。