ナイトビジネスを始めたい!深夜酒類提供飲食店の開業に必要な書類と禁止されている行為を解説

飲食店を開業する際には、さまざまなルールがあります。深夜酒類提供飲食店を営業する場合はどうでしょうか。深夜以降も営業するか否かではどのような違いがあるのか、そして開業する際に注意しなければならない点はどこにあるのか。
ナイトビジネスを始めたい方に向けての必要な届出書や書類、そして禁止されている行為などを解説していきたいと思います。
ぜひ参考にしてみてください。

1.深夜酒類提供飲食店営業とは

深夜以降も営業できる飲食店を開業したいと検討されている方が多くいらっしゃいます。
その場合、通常の飲食店とは異なる書類や法律などがあるため、さまざまな知識は備えておかなければなりません。
酒類提供飲食店は食を含む酒類を提供するお店ですが、深夜営業は以下の2点の条件が該当します。

  • ◆深夜0時以降(午前6時まで)営業している
  • ◆アルコールをメインに提供する

主に、バーやスナック、居酒屋などがあります。この場合「深夜酒類提供飲食店届出」が必要となり、接客の有無によって申請が異なる場合があります。(詳細は後述します)
ただし、深夜0時以降も営業しているラーメン店や牛丼屋、ファミリーレストランといったアルコール以外の食事をメインに提供している場合は届出不要となります。

2.深夜酒類飲食店開業時の届出と必要な書類

飲食店で深夜営業をする際には、届出書および必要な書類を用意しなければなりません。
ここでは開業に向けての必要な届出書と書類について解説していきます。

2.1 深夜酒類提供飲食店の営業開始届出書の準備

飲食店が深夜0時以降に営業する際には「深夜酒類提供飲食店営業開始届出書」所轄の警察署(公安委員会)に提出します。
提出後に受理されることで10日後には深夜営業が可能となります。

前述しましたが、届出書はアルコールをメインとした場合の営業形態となります。ただし、お酒を伴う割烹店や居酒屋、小料理店などもあります。この場合は、食事提供も兼ねているため所轄の警察署の判断で深夜酒類提供飲食店に該当するかどうか決まる可能性が高いです。このような営業形態の場合には、事前に問い合わせてみると良いでしょう。

2.2 営業活動の内容書類

店舗の営業について酒類の提供方法などを記入して警察署に届けます。
様式が警察署によって異なる場合がありますが、「営業の方法」雛形をダウンロードができます。「営業の方法」に記入する際の注意点として以下を参考にしてみてください。

  • 営業所の名称と営業所の所在地:ビル名、階数、部屋番号まで記入します。
  • 営業時間:午前と午後に分かれています。時計の数字をそのまま記入(例:夕方6時は〇、18時は×)
  • 18歳未満の従業員の使用について:18歳未満の年少者は接客を含み深夜で働くことは法律で禁じられています。ただし、10時(22時)までは可能です。「⓵する」と答えた方は仕事内容を明記します。
  • 18歳未満の客を立ち入らせることについて:夜10時以降に18歳未満の客は入店できません。また、アルコールを提供する飲食店は、20歳未満にお酒を提供することはできません。「⓵する」と答えた方は18歳未満の入店防止のため年齢確認をする旨、明記しましょう。
  • 飲食(酒類を除く)の提供:「⓵する」の場合は、アルコール以外の飲み物や食べ物を記入します。
  • 酒類の提供;「酒類の種類や提供方法」は店舗で提供している種類を記入します。「20歳未満への酒類提供を防止する方法」は入店する際に疑わしい場合には年齢確認をして20歳未満だった場合、アルコール提供は断る旨を記入します。
  • 客に遊興させる場合の内容と時間帯:遊興とは接客行為とみなされることもありますが、状況によって異なります。基本的に遊興0時以降は不可となっています。
  • 他の営業を兼業すること:飲食店との兼業する(あるいはしている)かの選択です。「②しない」が多くあります。

2.3 営業店の図面

深夜営業の飲食店開業に必要となる書類のなかで、以下の図面があります。

  • 店舗内の平面図:厨房や客席、トイレなど区画表示をしたうえで縮尺(1/100、1/1500など)を記入します。
  • 営業店の周辺図:営業店の位置確認ための所在図面が必要です。
  • フロアの図面:道路と出入口の接続位置、建物(テナント)の場合は、1階の入り口から店舗のある階の図面を作成します。
  • 照明音響・や防音設備の図面:照明設備は位置と仕様を記載したもので、音響設備はカラオケ店やスナックなどに営業に必要な音響機材やTVの設備図面と仕様です。防音設備は防音構造を示した図面が必要となります

図面は「カウンターやテーブル」「トイレ」「消火器・避難経路」「出入口」「厨房のレイアウト」が確認できることが重要です。

2.4 住民票

個人で開業の場合の住民票は本籍が記載されているもので、法人は役員全員分が必要です。注意点として発行後3か月以内の住民票になります。
また、外国籍の方は本人の国籍が記入されているものになります。

2.5 飲食店営業許可書の写し

保健所で交付されている「飲食店営業許可書」の写しが必要です。
ただし、交付までに申請から長くて数週間から1か月ほどかかることがあるので、保健所に飲食店営業許可を申請中という証明書を発行してもらい、「深夜酒類提供飲食開始届出」と一緒に提出することが多いです。
深夜酒類提供届出の受理後に、保健所から発行された営業許可を提出すると良いでしょう。

2.6 定款・登記事項証明書

法人名義の開業の際には、定款のコピーと登記情報が記載された登記事項証明書(発行3か月以内)が必要です。
なお、登記簿謄本は「履歴事項証明書」を用意しましょう。

3.深夜酒類飲食店営業で禁じられている行為

深夜酒類提供飲食店は深夜0時から翌朝6時までお客様にアルコールの提供ができることを目的のひとつとしています。ただし、このような形態の飲食店には幾つかの禁止事項があるので注意しましょう。

  • 接待は禁止:ガールズバーやホストクラブなど接客を伴う営業形態「風俗営業」とは異なるので、接待行為は不可になります。
  • 深夜0時以降の客引き行為:深夜0時以降の路上での客引き行為は違法とされています。通行人の妨げ、つきまとう、ぼったくりなどのイメージが強く、実際に取り締まりが厳しくなっています。
  • 深夜0時以降の遊興:深夜において、カラオケやダンスなどにおけるお客様に遊興させる行為は禁止です。遊興させるとは、「店舗側が積極的に遊びをお客様に遊興させる」という意味です。※お客様自らカラオケを歌う、踊るといった行為は遊興させるに該当しません。
  • 夜10時以降に18歳未満のスタッフの稼働とお客様入店:18歳未満のスタッフは、夜10時以降の稼働はできません。18歳未満のお客様の入店は禁止ですが、保護者同伴であれば可能です。
  • 20歳未満に酒やタバコは禁止:20歳未満の人は深夜時間に関わらず、酒とタバコは法律で禁じられています。飲食店で酒やタバコを提供(販売)することは認められていません。もし提供した場合には、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、または両方が科せられることがあります。

さいごに

いかがでしたか。ナイトビジネスのなかでも深夜酒類提供飲食店の開業を検討されている方へ、基本的な提出書類や禁止されている行為などを解説しました。通常の飲食店でも深夜営業するか否か、そして酒類提供が主であるか否かなどによって違いがあります。
深夜営業を検討する上で、参考にして頂けたらと思います。

この記事を書いた人

BrancPort税理士法人