水商売でよくあるボトルキープ~管理方法からトラブル時の対処法まで~

ナイトワーク(水商売)でよくある日本文化独自のシステムがボトルキープです。ルールあってのボトルキープですが、スナックやキャバクラ、バーなどでよく見かけます。次回の来店に繋げられるきっかけづくり、お気に入りのお酒を預けているので安心して立ち寄れることは、ある意味日本しかないホスピタリティ精神かもしれません。
さて、数多くのお客様のお酒をお預かりしているなかで、注目したいのが管理方法やで万が一トラブルがあったときの対処法です。
ここでは、ボトルキープの仕組みからトラブル時の対処法など解説していきます。
ぜひ参考にしてみてください。

1.ボトルキープの仕組み

ボトルキープとは飲食店で最初に購入し、次回の来店まで預けておくことを言います。お客様がお酒をグラス単位での注文をすることなく、購入したボトルで飲むことができます。また、当日飲み残した分は次回の来店時まで預けておけるシステムです。ただし、次回には必ずしも預けたボトルを飲まなければならないという仕組みはありません。
保管ルールは店舗によって異なることがありますが、基本的な仕組み(ルール)を挙げてみました。

  • 氷や割りものに付随するレモンスライス、梅干しなどの料金を別途いただくことがある
  • 一般的に保管期間は3か月~6か月
  • 購入したボトルにはお客様自身で目印(文字や絵など)タグなどをつける

長期来店されないお客様のボトルの処分に困っているスナックやバーなどもあります。その場合には、あらかじめ、ある一定の保管期間をお客様に知らせておくことで店舗側も安心できます。

2.ボトルキープの管理方法

水商売に特化したボトルキープの管理方法は幾つかあります。
大切に保管するためには、スタッフ間での情報共有が必要です。


⓵基本的な情報を記録する
店舗によって管理方法は異なりますが、ミスを防ぐためにノートやExcel、システムアプリ)などを使用する場合は記録の統一化を推奨します。


②スタッフ間の情報共有
情報共有は非常に大切です。お客様がキープしている商品名やお預かり日などを明確に記録することで他のスタッフもスムーズに対応ができます。


③お客様の名前
ボトルにはお客様の名前を記載しますが、ニックネームなどある場合にも記録します。また、指名のキャストがいる場合にも併記すると良いでしょう。


④情報記録(ノートやアプリでの必須事項)
主に以下のような情報を共有すると良いでしょう。

  • お客様の名前(ニックネームなども)
  • ボトルキープした日と商品名
  • 有効期限
  • 備考→お客様情報として、飲み方などを記載

3.ボトルキープのメリット・デメリット

お客様側がボトルキープをした際のメリットはありますが、もちろん店舗側に多数あり、デメリットも存在します。


◆メリット

・常連客の獲得
お客様がボトルをキープした時点で、再来するということが考えられます。特に決まったお酒を飲まれる方は、ボトルキープを好みます。気に入らないお店ではボトループはしません。水商売での常連客は非常に大きな存在なので、店舗にとってボトルキープは有効的なシステムといえるでしょう。


・お店の宣伝効果
ボトルキープされたお客様が、友人や家族などを誘い来店したときに「飲んでもいいよ」と気軽の声掛けすることができます。このことがきっかけとなり口コミ配信に繋がり、宣伝効果に期待がもてます。


・在庫の負担減少
来店したお客様からは、最初にボトル料金をいただけます。在庫を抱える負担は減少し、売上確保にも繋がります。


◆デメリット

・保管場所

ボトルキープをする際に保管場所の確保が必要です。特に狭い店舗ではボトルが増加していくと、扱いが煩雑になってしまいます、また、レイアウト変更や改装などの問題が浮上してきます。


・管理による負担

予約されたお客様の多くのボトルは、目の届く場所に配置しますが、突然の来店客の場合はスムーズに取り出すことができない可能性があります。
ボトル管理に工夫をする必要があります。

4.ボトルキープによるトラブル時の対処法

ボトルキープというシステムは、お店の売上に繋がりますが、管理ミスや提供ミスなどが発生してしまうことがあります。
ここではトラブルの事例と対処法を解説します。

4.1 ボトルが見当たらない

お客様が来店前に予約している場合は、スムーズに用意することができますが、突然訪れた際にはお客様のボトルが見当たらないといった問題が発生する可能性があります。その原因は以下にあります。

  • 商品ごとに並べているボトルが誤って異なる場所に移動されている
  • 不定期出勤のスタッフへの情報共有がない
  • 名前や番号のタグが付いていない

狭いスペースで営業しているスナックなどは、目の届く場所に保管しているので、見当たらないということはあまりないのですが、ラウンジバーやキャバクラなど広い店舗では明確な管理とスタッフ間の情報共有が必要です。
探しているの見当たら焦るばかりで、適切な探し物をするときの逆効果になってしまいます。冷静になることが大切で、もし見当たらない場合は、直ちに店長や経営者に伝えることが解決の第一歩になります。

4.2 ボトルを紛失・破損

ボトルを見つけられない、紛失してしまった、破損してしまったなどのトラブルも見受けられます。対処法として以下の順番で対処すると良いです。

①紛失の原因究明
ボトルがなぜ紛失・破損してしまったかの原因を探ります。置き場所や飲み切ったボトルの管理の問題にあるのか、確認をする必要があります。
破損してしまった場合は、経緯をスタッフから聞き出すことも必要です。

②お客様へ伝える
お客様に謝罪を初め、正直に紛失・破損してしまった旨を伝えます。

③代替案を伝える
ボトルを紛失・破損してしまったことはお店の責任になります。
以下の提案をしてみましょう。

  • ボトルの代替商品を無償で提供(商品はキープしている銘柄以上または同等のもの)
  • サービス券やクーポン券などを提供
  • 信用を取り戻すための再発防止策を伝える
  • 徹底したボトル商品の保管や場所移動に対するスタッフ教育

ボトルの紛失・破損は、常連客を含む全てのお客様に信用を損なう危険があります。
必ず原因究明をした上で、防止策を講じることが大切です。

4.4 預かり期限が過ぎたボトル

お客様がボトルキープをした日には、有効期限をお伝えしている店舗が多数あるかと思います。しかし、何らかの理由でお客様の来店がなく、保管期限が切れてしまったということもあります。そのことによって、トラブルの原因にもなりかねないので注意しましょう。

  • 保管期限が過ぎてしまい、提供できる状態でない
  • 長期保存に伴い高温多湿、直射日光などによる品質の劣化
  • お客様に断ることなく処分してしまうと不快感を与えてしまう

保管期間の提示をしていてもお客様が忘れてしまう、または都合で来店できないなどあります。預かり期間のルールはあると言え、邪魔にならないように一定期間はバックヤードで保管をして、期間が過ぎたお客様の名簿リストを作成しておきましょう。

4.5 違う銘柄を開栓

お客様へ違うボトルを提供してしまったトラブルも考えられます。
以下の事項をしっかりと行うことでミスを防ぐことができます。

  • ボトルの残量や開封日、名前と商品の管理を把握
  • スタッフの情報共有化。(新しくボトルを入れたお客様情報の引継ぎなども含む)
  • 提供する前にダブルチェックをする

ボトルキープというシステムは、お店とお客様との関係性が保たれる仕組みでもあります。間違えて提供しないためにも、上記の事項を実行することが必要となります。

さいごに

いかがでしたか。水商売によるボトルキープは日本独自のシステムです。
初回にボトルキープをするということは、再来が約束されているようなものですね。
適切な管理方法でお客様との繋がりを保ち、ボトルキープという制度を有効的に活用してみましょう。

この記事を書いた人

BrancPort税理士法人